2011年02月20日

カセットプラント ファクトリー通信 vol.0002 バックナンバー 2007/08/25発行

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カセットプラント ファクトリー通信 vol.0002  2007/08/25発行


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●目次
  【1】京都便り(2)
  【2】アートなほっとたいむ −山口作子さんに聞く(2)−
  【3】今後の活動、展覧会情報
  
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【1】京都便り(2)
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京都で開催された「裏アートマップ2007」に参加したカセットプラントファ
クトリー。
展覧会についてギャラリー16の坂上しのぶさん(ファクトリー事務局メンバー)
に語っていただきました。

          ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

誰でもが、地図を片手に、京都市内の現代美術画廊の
今イチオシのアーティストの展覧会をめぐることができる
「京都アートマップ」。

現在京都アートマップは2年に1回の開催です。
そのはざまの年には「裏アートマップ」と題し、
京都芸術センターの場にギャラリーが集結し、
約3週間展覧会が開催されます。

京都芸術センターは京都の中心に位置しており、明倫小学校という
元小学校の校舎を再利用しています。 http://www.kac.or.jp/
この小学校がある地域は「室町」地域とよばれています。
京都の文化は、昔から町衆の手によって支えられてきました。
室町は着物問屋の町です。
有名な祇園祭もこの室町地域を中心に、町衆の力によって発展しました。

この明倫小学校は京都市立の小学校ですが、つくったのは、京都市(行政)ではな
く、町衆です。
町衆は自分達の子弟を教育する場としてのこの小学校に、多額の資金をつぎ込み、
町ぐるみで子供を育てる体制を何百年も前から築いてきました。


土地の値段が上がったこと、少子化がすすんだことで、
この明倫小学校もやむなく廃校となりましたが、
愛情がこめられたこの小学校を閉鎖させてしまうのを惜しむ声は多く、
芸術センターとして再出発をすることになりました。

この芸術センターはそんないきさつのある場所です。
ギャラリー空間があり、そこではアーティストが発表する場があります。
校庭はテニスやゲートボールをするひとたちがいつも利用しています。
各教室は劇団の人の練習場、アーティストのアトリエ、図書室、レストラン
として使われています。
レストランは安くておなかいっぱいになるようなメニューがあり、
地域の人が目的がなくともふらりと立ち寄る、街角のような雰囲気があります。

今年の裏アートマップは6月5日〜24日に開催されました。
ほかのギャラリーは、ギャラリー空間でアーティストの作品を展示するという
割と普通のことをしていましたが、私達のギャラリーは、
[カセットプラント in 京都「元明倫小学校」]と題し、
明倫小学校の廊下の窓ガラスにカセットプラントを約3000個(かな?)
貼りました。

−−−−−−−
来年の京都アートマップのテーマは「京都美定書」というものです。
これは京都議定書をもじったタイトルです。
環境の問題は、いまや連日テレビでも取り上げられ、
政治や経済の分野においても世界レベルでの取り組みがもとめられている、
いま一番の重要課題です。
現代美術は、そういうわたしたちが生きて、私たちをとりまいている
たくさんの矛盾や問題とともに存在しています。
アートもそういう問題と深く関わりあいながら進むべき道を探っています。
カセットプラントを通して窓から差し込んでくる光や美しさに心をかたむけ、
普段のいそがしい日々とはちがう時につつまれてもらえたら、、、
そしてそこから、私たちが社会のなかでいかに生きて行くべきか、
そんなことを考えるきっかけになってくれたら嬉しく思います。
−−−−−−−

上記の文章はカセットプラントの横にひっそりと書いたテーマです。
会場は約4500人のお客さんが訪れ、
各メディアにも多く取り上げられました。
この展示によって何が起こったか。
それはまだ見えていません。

何気ない日常のなか、
たとえば、電車のホームにすずめがチュンチュンさえずって遊んでいるとき
仕事にいくサラリーマンたちの顔には自然と笑みがうかびます。
人間を取り戻す瞬間というのは、実はそういうあたりまえの日常のなかの自然、
破壊されていない自然や良心に接するときにあります。
そういう感覚が、今回のカセットプラントにはあっただろうと私は思います。

                       ギャラリー16 坂上しのぶ

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【2】アートなほっとたいむ −山口作子さんに聞く− (2)
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カセットプラント ファクトリーの活動や芸術について様々な方と対談する
《アートなほっとたいむ》
前回に引き続き山口作子さんにお聞きしました。

          ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

編集部:カセットプラント作品はカセットケースを作品の素材としています。
それを使って『カセットプラント』という美術作品に発展させたのは
山口啓介さん独自の発案によるものです。
カセットプラント作品が生まれたいきさつを教えていただけますか?

作子 :カセットプラントが生まれたのは偶然なんですが、あるきっかけが
    ありました。当時山口はドイツ滞在中で、代官山のヒルサイドギャ
    ラリーでの個展のために「自立式絵画(コロニーシリーズ)」を制作
    中でした。絵画は通常壁にかかっているものですがコロニーは衝立の
    ように床に立っている「絵」でした。その絵の横に、樹脂や蓮の実、
    蜂の巣などを入れて取り付けるために、適当な大きさの透明のBOXを
    探していて…そのとき、たまたまアトリエの机の上にあったカセット
    ケースに、樹脂や植物を試しに入れたりしていたんです。結局、
    「自立式絵画」にサイズが合わずカセットケースは使いませんでし
    たが、カセットケースに入れた樹脂や植物には別のおもしろさがあり
    ました。そして1997年ヒルサイドギャラリーでの個展の際に初め
    てカセットプラント作品が「自立式絵画」とともに発表されました。

編集部:カセットプラント作品発表以降、さまざまな場所でワークショップが
    開催されていますね。

作子 :初めてワークショップを行ったのは、府中市美術館開設準備室の企画
    によってでした。これは宇都宮美術館での『アート生態系』という
    展覧会に展示されていたカセットプラント作品を見た準備室の方から
    ワークショップ開催の提案があったのです。

編集部:宇都宮での『アート生態系』展は1998年でしたね。

作子 :はい、そうです。

編集部:そのころの美術におけるワークショップの状況はどういったもの
    だったのでしょう?

作子 :その当時美術館でのワークショップが各地で広がり始めた頃だったの
    だと思います。山口にとってもワークショップは初めての経験で、
カセットプラントでワークショップをするということはあまり考えて
いなかったと思います。

編集部:カセットプラントの準備はかなり大変なのではありませんか?

作子 :展示の規模や内容によっても違ってくると思いますが、基本的には
    数が多ければ多いほど大変です。

編集部:去年の越後妻有アートトリエンナーレ2006では大規模な作品を
    発表され好評を博しました。あれぐらいの規模になると一層大変
    だったでしょうね?

作子 :2ヶ月間現地に滞在して1万個以上のカセットケースを設置しました。
大地の芸術祭ボランティア「こへび隊」のサポートを得て作品を完成
させることができましたが、山口の作品としては最大規模のものと
    なったのでかなりの時間と労力がかかりました。この経験から、
    カセットプラントを作家自身の作品としてのみやっていくのには限界
    が見えた気がしました。

編集部:今春のACACで開催された『睡蓮の地球図』でのカセットプラント作品
制作では、ワークショップ参加者とボランティアの方々の協力で作品
    制作がスムーズにいったとお聞きしています。このことは、山口さん
    とワークショップ参加者、ボランティアの方々との協働による新しい
    制作形態の可能性を感じます。ファクトリーもそのような形態をめざ
    してやっていくわけですか?

作子 :はい。実際ある段階まではボランティアの協力で成り立っていますし、
    このボランティアの人にやってもらっている作業を毎回続けてやって
    もらえるような仕組みができたらいいなーと。これが私の中で少し
    ずつ芽生えていたカセットプラント ファクトリー」の原型のような
    ものかもしれません。
    私にとって大きな後押しとなったのは、カセットプラント制作を通
    してたくさんの人と出会ったことでした。

編集部:そういう意味で「ワークショップ」は有意義なことですね。参加された
    方が作家とともに一つの作品を完成させるということは、"共感・協働"
    という心のつながりもできていくと思います。

作子 :カセットプラント作品は、「山口啓介の作品としてのカセット
    プラント」と「ワークショップとしてのカセットプラント」と2つに
    分けています。ワークショップでは(ここでいうのは一般の参加者
    を対象としたもの)カセットケースという小さな「箱」に花を入れて
    いきますが、この「箱」の中に参加者は自分の箱庭を作っていきます。
    1つのカセットケースの中にその人なりの世界が出来上がります。
    それはそれで1つの作品として面白いものがありますが、次の段階
    でそのカセットを窓ガラスに貼ることによって、他の人たちとのコラ
    ボレーションがうまれます。たくさんのカセットが積み重なって1つ
    の大きな作品になり、また別の世界が広がっていきます。そういった
    美術的体験はワークショップならではという気がしますね。
    また、「作家と私」に分けることによって見えてくるもの、芸術って
    何だろうという問いかけが生まれてきます、そこで参加者の方がどん
    なことを体験したり、感じたりされるのかとても興味深く思ってい
    ます。

編集部:私も一度ワークショップに参加しましたが、カセットケースを単体
    で観る時と、作品に構成された時とでは全く違う表情になります
    よね。細胞がつながって一つの固体="新たな生命"が生まれてゆく…。
    そんな印象を強く感じました。
    もう一つ強く感じたことがあるんです。

作子 :それは何ですか?

編集部:今までは鑑賞者の眼でのみ作品を観ていたのですが、ワーク
    ショップに参加したことによって「制作者の眼」でも観るように
    なり見えてきたものがありました。山口さんの作品のすごさという
    ものをあらためて実感した気がします。
    それでは最後に今後のカセットプラント ファクトリーについて
    お聞かせください。

作子 :カセットプラント ファクトリーの今後の活動については、様々な
    可能性を期待しています。ファクトリーとしても単なるサポートに
    留まらずいろんなアイデアを出したり、時には独自に企画をたてたり
    ということも考えられるとおもいます。実際に、青森、京都では
    いくつかのことが実現しています。
    まずは、サポート体制を整えながらその可能性を探っていきたいと
    思っています。それと、カセットプラント作品を通して社会とどの
    ように関わっていけるかということも考えていきたいです。

編集部:本日はありがとうございました。今後の作品展開を期待しています。


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【3】只今開催中!/今後の活動、展覧会情報
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///只今開催中!///
◇ヨッチャンの部屋vol.3「現代美術芸術家列伝」展
「The Life and Work of Contemporary Artists」

会期:2007年8月20日(月)〜31日(金)13:00−19:00 日曜休
会場:大阪造形センター(OZC)(大阪・北区)
問い合わせ:TEL 06-6372-9781
http://www.ozczokei.com/
☆インディペンデント・キュレーター加藤義夫氏主宰の「加藤義夫芸術計画
室」開設10周年記念個展。山口の他、芸術家24名の作品も展示される。

///今後の活動、展覧会情報///
●「消失点ー日本の現代美術」展

会期:2007年10月12日(金)〜11月11日(日)
会場:ニューデリー国立近代美術館(インド)
☆山口の代表的な絵画作品及び新作絵画とカセットプラントを出品予定
(詳細は後日、インフォメーションにて)


●11月には今年で5回目になる「アートプログラム青梅2007」
  にカセットプラント作品で参加予定
(詳細は後日、インフォメーションにて)


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 編集   カセットプラント ファクトリー通信編集部 
 発行   カセットプラント ファクトリー事務局
お問合せ info@cp-factory.sakura.ne.jp


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