2011年01月18日

カセットプラント ファクトリー通信 vol.0001 バックナンバー 2007/06/18発行

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カセットプラント ファクトリー通信 vol.0001   2007/06/18発行


山口啓介氏が独自に考案し様々なバリエーションに展開してきたカセットプラ
ント作品は、そのアート性を高く評価されてきました。
カセットプラント ファクトリーは、その手法と技法を継承するために組織さ
れた新たな形態(ワークショップ方式のオーディエンス参加型)の制作ファク
トリーです。今後、カセットプラント作品のアート性を展開しつつ、現代美術
の意味と可能性を追究していきます。

                
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ファクトリーメンバーの皆様、はじめまして。
カセットプラント ファクトリー事務局メルマガ編集部よりメールマガジン
vol.0001をお届けします。
日本各地へ、その活動を広げようとしているカセットプラントファクトリー。
そのメンバーである皆様の情報交換、交流の場になればという思いから
メールマガジン『カセットプラント ファクトリー通信』発行になりました。
今後、ファクトリーの活動や展覧会情報、メンバーの近況などをリアルタイム
にお届けできればと思っています。


●目次
  【1】青森便り
  【2】アートなほっとたいむ −山口作子さんに聞く−
【3】京都便り 
  【4】只今開催中 

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【1】青森便り
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青森で開催された山口啓介氏の個展でのカセットプラント制作の様子や感想
を、ファクトリーメンバーの花田しのぶさんに語っていただきました。

          ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

「睡蓮の地球図」展 於:国際芸術センター青森 


4月21日から5月20日まで、青森市の国際芸術センター青森(ACAC)で行われた
「睡蓮の地球図」展は、「おそらくセンター始まって以来の入場者数だろう」
(センタースタッフ談)というくらいたくさんの方々に足をお運びいただき、
盛況のうちに幕を閉じました。
センターには、ギャラリーA とBの2つのスペースがあり、Aでは絵画および版画
作品、Bではカセットプラントの展示を行いました。
ACACには、AIRS(アーティストインレジデンスサポーターズ)というボランティ
アサポーターの組織があります。
今回のカセットプラントの展示にあたっては、AIRSメンバーを中心に、3月中旬
から約一ヶ月間、週2回センターに集まって、花の乾燥作業に励みました。

作業手順は、
1.集まったお花を、カセットケースに入る大きさに切る。
2.タッパーなどの容器にシリカゲルを敷き詰め、そこに花を入れ、さらに花が
隠れるようシリカゲルをかける。
3.3〜4日経って、シリカゲル(元の色は青)が花の水分を吸って白っぽくなった
 ら花を取り出す。
4.小さめの衣装ケースに、薄葉紙を敷き、乾燥した花を収納する。
5.水分を吸収して変色したシリカゲルは、青くなるまで鍋で炒って再生する。

このような作業を毎回繰り返しました。

P1010019.JPG

4月初旬、山口さんご夫妻が到着してからいよいよカセットケースに花を詰める
作業が始まりました。
「一つのケースに一つ花を入れる」というのは非常に単純な作業だと思っていま
したが、展示したときにどう見えるかということを考えると、花の向きをあっち
にやったりこっちにやったり、結構時間がかかりました。
そして最終的に3400個程のカセットプラントを作りました。

カセットプラントの展示を行ったギャラリーBは、池に面した壁面が一面ガラス
張りで緩やかな弧を描いています。
色や花の種類、花の向きが重ならないようにどのような順番で貼り付けるか、
一度テーブルの上に並べて確認してから、ガラス面に貼り付けはじめました。
ここで、全く予想していなかったことなのですが、ガラス面の幅がカセットケー
スの幅とぴったりであることに気づきました。
つまり、少しでもずれると予定の数が収まらなくなるということで、端から慎重
に貼り付けていきました。

P1010035.JPG

作業初日、まだ下から1メートル程度しか貼れずに作業を終えて外から眺めてい
ると花の色に導かれたのでしょうか、一羽の小さな蝶がカセットプラントに近
づいていく姿を見つけて驚きました。
カセットプラントの色彩の美しさは、蝶も本物の生花と見紛うほどであったの
でしょうか?

P1010075.JPG

今回は、期間にして約1週間、全部で2850個のカセットプラントを設置しました。

P1010041.JPG

また、展覧会が始まる前に、一般市民の方々を対象にカセットプラントのワーク
ショップも行いました。
こちらでは、乾燥した花の他に生花も使い、一つのケースに一つの花ではなく、
参加者の方々に、自由に詰めていただきました。
花芯をとって花びらだけを入れたり、ビーズなどの花以外の材料も一緒に入れ
たり種類は異なるけれど同じ色味の花を詰め込んだり・・・
約300個の様々なカセットプラントが出来上がり、それらはギャラリーBの側面の
ガラスに貼り付けられました。

それから、「観客の皆さんにじっくり座ってみて欲しい」という館長の提案で、
ギャラリー内に透明のアクリルチェアを7脚置きました。
しかし、その背もたれと座面裏にもカセットプラントを貼り付けたせいか、椅子
も作品と思われることが多く、その椅子に座って鑑賞しているお客様の姿を見か
けることはほとんどありませんでした。

P1010058.JPG

花が題材ということもあり、準備やワークショップに参加された方は大部分が女
性でしたが、約1ヶ月の会期中、熱心にご質問なさるのも女性が多かったのが印
象的でした。

時間帯や天気によって、外の池の水面がカセットプラントを通してギャラリーの
白い壁面に波形の影を描いたり、逆に池の水面にカセットプラントがまるで教会
のステンドグラスのように写りこんでいたり、恐らく当初は予想し得なかったで
あろう様々な現象が起こり、それもまた、観るものの心を深く捉えました。
ガラス面の幅がカセットケースの幅とぴったりだったことや、「水晶宮」という
作品の生み出す美しさとギャラリー空間との結合を考えると、この建築は、カ
セットプラントのために作られたのではないかと錯覚するほどで、サイトスペシ
フィックの意味を「場所(空間)の唯一性」とするならば、作品と空間が非常に有
効に結びついて、「今ここでしか感じ得ない」(ACACのこの空間に身を置かなけ
れば味わえない)独特の調和を生み出していました。

P1010057.JPG

テレビやカタログではなく、初めてカセットプラントを目前にした私の個人的な
感想を述べさせていただくならば、確かに「花」という素材は綺麗であり、3000
に近い数のカセットプラントが並ぶ様は単純に「同種のものが大量にあることが
生み出す美しさ」を感じずにはいられないのですが、同時に「カセットケースの
中に封じ込められている花は永遠」、対して自分の存在は有限、「続くものと限
りのあるもの」、時間のもつはかなさ、悲しさといった命題に真摯に対峙してい
く姿勢が求められているようにも感じました。

カセットプラントはどのような場所、どのような形態(平面であれ立体であれ)
で行っても、その場所、その時間、それぞれの空気を生み出す可能性がある作品
だと思います。

今後の展開がとても楽しみです。

花田しのぶ



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【2】アートなほっとたいむ −山口作子さんに聞く− (1)
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カセットプラント ファクトリーの活動や芸術について様々な方と対談する
《アートなほっとたいむ》
今回は、山口作子さんに青森での様子をうかがいました。

          ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

編集部:作子さん、青森での山口氏の個展、お疲れ様でした。
    
作子 :ありがとうございます。
    おかげさまで無事に終えることができました。
    入場者数も、これまでの展覧会の中で一番多かったそうです。

編集部:それはすごいですね。
    カセットプラント作品を現地の方と一緒に制作されてどうでしたか?

作子 :はじめはボランティアの方々の人数も少なかったのですが、日がたつ
    につれ参加者が増えていきました。
    そして、私たちが青森入りした時には、何もしないでいいぐらい制作
    準備が整っていて、その後も自分たちで率先して制作してくださった
    ので、とても助かりました。
    また、今回の山口のドローイング作品はかなりの規模のものだった 
    ので、どうなるか?と思っていたのですが、弘前大学卒業生やたくさ
    んのボランティアの方々が山口の制作に協力をしてくださったので、
    個展開幕に間に合いました。
    ホント皆さんに感謝です!!

編集部:ブログを通して参加した方もいたとか?

作子 :そうなんです。関西に住むwaojouさんの紹介で、青森に住むアリルさ
    んが制作に参加してくださって、ワークショップや個展の模様を自分
    のブログ(アリルの生活⇒http://ariru2006.blog64.fc2.com/)に
    載せてくれたんです。それを見た何人かの青森在住の方が制作に参加
    してくれたりブログで紹介してくれたりしてどんどん人の輪が広がっ
    ていったんですよ。ブログでこんなに広がるとは思いませんでした。
 
編集部:人のつながりっておもしろいですね。
    アーティスト・トークとコンサート「夜会」でリュートを演奏された
    鎌田紳爾さんも、ファクトリー事務局の折谷さんの紹介だそうです
    ね。

作子 :折谷さんは様々なネットワークを持っていて、その関係で鎌田さんを
    紹介していただきました。
    ライトアップされたカセットプラントをバックに音楽を聴かせていた
    だきました。それはもう、幻想的な世界が広がっていましたよ。 

編集部:制作に参加された方は山口夫妻の素敵な人柄に触れ、皆、二人の大 
    ファンになったと聞きましたよ。
 
作子 :そう言っていただけると大変うれしいです。ちょっと照れます(笑)
    でも、参加された皆さんの人柄が素敵だったの
    で、私たちも気持ちよく青森で過ごすことができたんですよ。今でも
    連絡を取り合っている方もいるぐらい、親しくなった方がたくさん
    できました。

編集部:“素敵”な人の所に“素敵”な人が集まり“素敵”な作品が出来たん
    ですね。“素敵”です!(笑)

                              続きは次回へ


G-B.JPG

アーティスト・トークとコンサート「夜会」でリュートを演奏された 鎌田紳爾氏


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【3】京都便り 
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今京都ではカセットプラント ファクトリーが参加している「裏・アートマッ
プ2007」が開催中。

会場の京都芸術センターは、展覧会を観にくる人、ワークショップにくる人、
資料を調べにくる人、休憩にくる人、ランチを食べにくる人(館内にある「前
田コーヒー」のランチがおいしい!)など様々な人が行き交います。作品の展
示場所が図書室前廊下の窓ということもあってか、「いろんな人が作品をみて
“きれいだ”と喜んでくれています。カセットプラントをいろんな人に知って
もらういい機会になればいいですね。作品を観る人がみな幸せな表情になって
くれているようでうれしいです。」とギャラリー16の坂上さんはおっしゃって
います。
今回使用したカセットテープケースは2100個。芸術センターのボランティアの
人、チラシをみて参加した人、芸術センターが小学校だった頃の卒業生のファ
ミリーなど様々な人の手によってガラス窓が飾られました。

★関西に住むwaojouさんが関連ワークショップ《カセットプラント in 京都
「元明倫小学校」》に参加した模様を自分のブログにアップされています。 
      ⇒ http://keitaisyugyou.blog45.fc2.com/

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【4】只今開催中!
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◇「裏・アートマップ2007」
   2007年6月5日(火)〜24日(日)
   京都芸術センター ギャラリー北/南、その他

             
◇「山口啓介−地球図素描−」
   2007年6月12日(火)〜23日(土)
   ギャラリー16 京都市左京区岡崎円勝寺町1-10スクエア円勝寺2F
          TEL:075(751)9238  HP:http://www.art16.net/
   

ギャラリー16 HPより 

京都芸術センターで開催される裏アートマップ展(京都の現代美術画廊があつまり、
それぞれが推薦する作家の作品が京都芸術センターに集結)に、ギャラリー16からは
カセットプラントファクトリーが出品いたします。これは、アーティスト山口啓介が
発案したカセットプラントが作家の手をはなれ、誰もが参加できるワークショップの
よう形態でひろがりを持とうとしているグループです。これにあわせ、ギャラリー16
では、そのカセットプラントを発案した山口啓介展を開催致します。

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山口啓介は1990年代前半に発表したエディションを重ねられるようないわゆる典型的
な版画の枠を大きく越えた巨大な組み合わせによる銅版画作品で注目を集め、以降精
力的な活動を続ける作家です。その後版画の枠を越え、絵画やインスタレーションな
どで宇宙の広がりを想起させるような壮大な作品を発表、展開し、関西では、2002年
には西宮市立大谷記念美術館で大規模な個展が開催されました。
精力的に作家活動を展開しており、現在では青森芸術センターで山口啓介展が開催さ
れております。

山口作品では、最近では、植物の葉花などをカセットテープのケースに入れ、それを
樹脂で固め積み重ねていき作品にした「カセットプラント」が知られています。
今回は、青森で発表される、絵画と新作の木版画が展示される予定です。

                            
                            

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●編集後記:編集長のつぶやき 

私がはじめてカセットプラント作品を観たとき、ガラス壁に設置されていた
こともあって、外光を引き込みながら美しく発光する“ステンドグラス”
と印象を持ったことを覚えている。その後、平面、立体と様々な形状や規模の
カセットプラント作品を観るたび、そこから発せられる不思議な“命の輝き”
をつねに感じてきた。
ファクトリーの活動が今後どのようになっていくのか、どんなかたちになって
いくのかはまだわからないが、カセットプラント ファクトリーの活動を通じ
て私が感じたような想いを、あるいは作品を観た人の心に何かが生まれたなら
うれしく思う。

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 編集   カセットプラント ファクトリー通信編集部 
 発行   カセットプラント ファクトリー事務局
 お問合せ info@cp-factory.sakura.ne.jp

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